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相手に強要されて慰謝料を支払う旨の合意書を作成してしまった場合

「合意書にサインしないと勤務先に連絡する」「合意書にサインしないと自室から出ていかない」等と脅迫・強要的な事情があり,合意書の内容に納得していないにもかかわらずサインをした場合,合意書の内容とおりの慰謝料を支払う必要があるのでしょうか。

1 合意書にサインする前に弁護士に相談をする

全く回答になっていないことを承知でいいますが,合意書にサインをした時点で不利な状況からのスタート,それを覆していくことに多大なエネルギーがかかることは否定できません。

2 それでも合意書にサインをした場合はどうするか

  1. (1) 弁護士に一刻も早く相談してください。合意書締結日から近い日に合意書の内容に異議を唱える方が合意書の効力を争える可能性が出てきます。合意書の内容を一部でも履行してしまうと,その合意書の内容に納得していたものとして中々合意書の効力を争うことが厳しくなります。
  2. (2) どのように覆していくか
    よく使う法的構成が強迫(民法96条1項),心裡留保(民法95条),公序良俗違反(民法90条)を理由とした合意書の無効の主張になります。
    合意書作成前に相手方からどのような具体的圧力を受けたか(細かく述べていく必要があります),どこで合意書を作成したか(他人に助けを求めにくい場所か),合意書作成の場に誰がいたか(相手側に複数人いて自身は一人か),合意書の内容自体に不自然な点はないか(清算条項がない,支払期日の定めがない,著しく高額な違約金額)といった事情を述べて,合意書の効力を争う形になります。
    上記の点に関する証拠があれば猶更戦いやすいです。
    実際どうなっているかというと,具体的な事実・根拠を示して合理的な主張を展開していけば,合意書記載の金額より相応に減額した形で再和解できるケースを当職は経験しています。
  3. (3) 最終手段は自己破産
    自身に特に守るべき資産(代表的なのが自宅不動産とかローン有の自動車)もなく,自身に他に負債があれば,自己破産も選択肢の一つです。
    よほど悪質な事情がなければ,不倫の慰謝料は自己破産によって免責されるものでありますから,不倫の慰謝料の減額を考えるよりも破産を選択してしまった方が話の早いケースもあります。
    実際に自己破産をしなくとも,自己破産の選択肢を交渉手段として合意書の金額からの相応の減額が協議で実現したケースも当職の経験上あります。
    住宅ローンのある住宅を抱えている場合は個人再生の選択肢もあります。
    自己破産・個人再生についても当事務所は多数取り扱っていますので,
    こちらのページ(個人再生・債務整理・自己破産の無料法律相談 弁護士法人仙台駅前法律事務所)をご覧にいただければと思います。

不倫の開始前に慰謝料請求者の婚姻関係が破綻していたという主張

相手の配偶者と不貞行為をしていたのは事実であるが,不貞関係の開始時点で既に慰謝料請求者らの婚姻関係は破綻していた,又は破綻していたと聞いていたから,自身は責任を負わないという反論が考えられます。

この反論は現実として成り立つものかを考える必要があります。

1 不貞開始前に婚姻関係が破綻していたか

  1. (1) 最高裁判例でも,不貞関係の開始時点で既に慰謝料請求者の婚姻関係が破綻している場合には慰謝料支払義務は負わないという考えになっています。
    問題は,どのような事情があれば,慰謝料請求者の婚姻関係が破綻していたといえるかになります。
  2. (2) まず,慰謝料請求者が配偶者と同居を継続している場合は,家庭内別居やDV等の事情があったとしても,その夫婦の婚姻関係が破綻していたということは難しいかと思います。
  3. (3) では,慰謝料請求者が配偶者と別居をした後に不貞関係になったのであれば必ず慰謝料支払義務は免れるのでしょうか。
    別居開始直後に不貞関係を開始していたのであれば,その夫婦の婚姻関係が既に破綻していたとは中々評価されず,慰謝料支払義務を免れるのはなかなか厳しいかと思います。では,どれくらいの別居期間があれば破綻していたという話になりますが,一般的には3年間別居が継続していれば破綻していたと評価されやすいかと思います。ただ,この3年という数字は絶対的なものではなく,相手の婚姻期間の長さと比べて別居期間がどうかという形で婚姻関係の破綻と評価できるかが決まってくるかと思います。例えば,婚姻期間が1年であれば,半年の別居でも婚姻関係は既に破綻していたと評価される可能性があるかと思います。他方,婚姻期間が25年であれば,別居期間3年でも裁判官によっては婚姻関係の破綻は生じていないと評価される可能性があります。
    後は相手夫婦の別居の経緯・事情とかも重要になります。不貞以外の要因,例えば,DV等の事情により相手夫婦が別居したというような事情があれば,別居期間の長さと合わせて婚姻関係が既に破綻していたといえる可能性があります。
  4. (4) このように,不貞開始前に婚姻関係が破綻していたから慰謝料支払義務はないという主張の成立は現実的には中々難しい面があります。
    他方,DV等の不貞以外の要因があったり,短期でも別居期間が不貞開始前にあれば,元々相手夫婦の婚姻関係は悪化していたとして,慰謝料の減額要素となることは裁判でも多々ある印象です。

2 不倫関係になる前に相手夫婦の婚姻関係が破綻していると信頼していた場合

  1. (1) 不貞行為をするにあたって不貞配偶者から「夫婦関係は既に終わっている」「離婚の話が進んでいる」等の言葉を信頼して実際に関係を持ったから,故意・過失がないとして自身は責任を負わないという主張も多々あります。
    相手夫婦の婚姻関係の破綻を信頼していれば,慰謝料支払義務から免れるのでしょうか。
  2. (2) 結論からいうと,特に不貞配偶者の言葉を信頼していただけでは責任を免れることはないです。金額の減額自体も特に裁判では難しい印象があります。
    実際に相手夫婦の婚姻関係が破綻していると誤信してもやむをえないような事情,例えば,不貞配偶者が単身赴任していたために相手夫婦の別居という外形があり,かつ,配偶者との関係が悪く別居しているという不貞配偶者の言動があり,かつ,単身赴任先の室内でも夫婦での生活の実態がないというような場合に,慰謝料の減額要素となる可能性が出てきます。

貞操権侵害を理由とする慰謝料請求

1 貞操権侵害とは

貞操権とは、性的な自由に不当な干渉を受けない権利、純潔を侵害されない権利のことです。既婚者なのに相手が「独身」と偽って交際を継続していた場合、相手は自身の性的な判断の自由を不法に侵害したことになるので、「不法行為」責任により損害賠償請求権が成立する可能性があります。

2 貞操権侵害を理由に慰謝料請求ができる場合

  • ⑴ 男性が既婚者であるにもかかわらず未婚者と偽っていたこと
    交際中に相手がずっと「独身」と言い続けており、それがもっともらしくて、被害者がだまされても仕方がないと言えるような状況であったなら、慰謝料請求できる可能性があります。
  • ⑵ 肉体関係があること
    貞操権侵害となるためには、肉体関係(性的関係)があったことが必要です。たとえ交際していても、プラトニックな関係であれば基本的に貞操権侵害にはなりません。
  • ⑶ 男性側の悪質性が強いこと
    女性が判断能力不十分な未成年、男性側から積極的に男女交際を誘った、半ば無理やり性交渉を行った、女性を妊娠させた等の事情があれば男性側に悪質性が強いといえ、慰謝料請求しやすい状況となります。

3 慰謝料の相場

貞操権侵害の慰謝料額は、50万円〜200万円程度のケースが多いと思います。慰謝料の金額は、婚活サイトの利用や結婚式の開催の準備等男性側がいかに巧妙に独身者と偽っていたか、肉体関係を伴う交際関係の長さ、女性側の妊娠の有無などの事情を総合的に考慮されたうえで決定されます。

【解決実績】不貞行為を理由に慰謝料350万円を請求されていたが,100万円に減額できた事例

【相談前】

相談者様は妻子ある男性と不倫をしていましたが,不倫が発覚し,相手は離婚に至ってしまいました。

その後,不貞行為により離婚に至ったとして350万円の慰謝料請求をされてきました。

【相談後】

弁護士が事情を聞き取ると,不倫が発覚する前に相手方との間では既に離婚協議が進められ,子の受験が終わるまでは離婚時期を

先延ばしにしていたとのことであり,不倫発覚は離婚協議が煮詰まった後とのことでした。

そのため,不貞行為と離婚との間に因果関係はないと主張し,最終的には早期解決の観点から100万円の支払いで解決することになりました。

【コメント】

不貞行為により離婚に至った案件では200万円程度の慰謝料額が認められることが多々ありますが,事件特有の事情を適切に主張していき,

相場にとらわれない解決を目指していくことが重要です。

【解決事例】不貞相手から慰謝料150万円・妻からの慰謝料100万円の獲得

【相談前】
妻が別の男性と不貞をしたために、離婚を決意した男性からの相談です。
男性は、妻とは交際時から婚姻中も、特に問題になることもなく、円満に過ごしてきました。
ところが、男性が自宅を購入し、多額のローンを負うことになったために、長時間の仕事をするようになった頃から、妻の様子がおかしくなってきました。
男性が妻の様子を不審に思い、最近の生活状況を問いただしたところ、妻は別の男性と不貞をしていたことを認めました。

【相談後】
当事務所でお話をうかがい、男性が妻と離婚する意思があるかどうかを確認したところ、不貞をした妻に対する信頼関係は無くなったとのことで、離婚を選択することになりました。
その上で、妻と不貞相手の男性に対する慰謝料請求をする強いご希望があったことから、2人に対する慰謝料請求に向けて手続を進めていきました。
その結果、不貞相手から慰謝料150万円、妻からは慰謝料100万円を支払ってもらうことで最終的に解決に至りました。

【コメント】
不貞行為に対する慰謝料請求では、不貞行為をしたことが立証できるかどうか、また不貞行為が行われる前に婚姻関係が破綻していたかどうかなどの争点があります。
本件ではこれらの争点が問題となることはありませんでしたが、不貞行為に対する慰謝料請求は決して簡単に認められるわけではありません。
また、不貞行為を行った相手方に対する慰謝料請求では、どの程度の慰謝料額が認められる見通しが立つのかも検討する必要があります。

(解決実績)不倫を理由に慰謝料300万円を請求されたが30万円まで減額できた例

相談者様は相手方の配偶者と肉体関係を有していましたが,その期間はわずか1月でした。相手方は相談者様の不倫が原因で離婚に至ったとして300万円の慰謝料請求をされました。

依頼を受けた弁護士としては,弁護士をつけなかった相手方と直接交渉しました。肉体関係を持つ前から夫婦関係が破綻していたこと,元配偶者から慰謝料名目の金員の支払いをうけていたこと等の主張をし,結果として30万円まで減額することに成功しました。

依頼から解決までの期間は1月でした。

(解決実績)不貞相手から慰謝料150万円を回収した例

相談者様の配偶者が職場の上司と不倫関係になり,その関係が4月程継続しました。その後,配偶者のLINEを見た相談者様は不倫の事実に怒り,不倫相手に慰謝料請求をしたいと希望をし,当事務所に相談に来られました。なお,相談者様は子も小さく離婚をすることは躊躇している状況でした。

不倫相手にも配偶者がいましたが,不倫相手の配偶者は不倫の事実を知らないようでしたので,依頼を受けた弁護士は同配偶者に発覚しないように通知書を不倫相手に送付せず,電話で相手との交渉を開始しました。不貞相手に通知書を送付しなかったのは不貞相手の配偶者に発覚すると相談者様の配偶者様に慰謝料請求をしてくる可能性があり,それを回避するためでした。交渉の結果,不倫相手は不倫の事実を認めて謝罪をし,150万円を相手方から回収しました。

依頼から慰謝料の回収までの期間は1月程度でした。

(解決事例)不貞相手に別れを切り出すと妊娠中絶の慰謝料・手切れ金として500万円の請求をされた案件の対応

(相談前)相談者様は不貞相手と3年程不倫を継続していましたが,配偶者との関係をやり直したいと考え,不貞相手に別れを切り出しました。そうすると,不貞相手は逆上し,過去に妊娠中絶させた件での慰謝料と手切れ金として500万円の慰謝料請求をされていました。これに応じない場合は妻に不倫関係をばらすと脅されていました。不貞相手の対応につき当事務所に相談を依頼されました。

(相談後)不貞相手に過去に50万円程妊娠中絶の医療費を支払っていること,妊娠中絶は両者の合意でなされた以上は折半であるべきこと,慰謝料支払義務は一切ないことを主張し,不貞相手に支払うべき金員は一切ない旨を,弁護士は不貞相手に直接伝えて交渉をしました。本来支払うべきものはないとの認識でしたが,相手との交渉の結果,20万円を支払えばすべて終わりにするという回答を得られたので,相談者様の了承を得て20万円を支払う代わりに,口外禁止・相談者様の親族等への接触禁止・LINEや写真の削除・20万円の支払義務を除き何ら支払うべきものはない旨の清算条項を内容とする合意が成立しました。

(ポイント)不貞相手からの高額な慰謝料・手切れ金・恐喝への対応を一人で抱えることは精神的に苦しいかと思います。一人で抱え込まずに相談をしてみてください。