コラム

裁判離婚について

夫婦が離婚する場合、最も多い例は、夫婦が離婚することに合意をして、「離婚届」を役所に提出する「協議離婚」です。
夫婦で話し合っても離婚及びその他の事項について合意ができないという場合には、いきなり離婚訴訟を提起することはできず、まずは家庭裁判所に対して離婚の調停を申し立てることが必要になります。これを「調停前置主義」といいます。
もっとも、調停は家庭裁判所で行われるとはいえ、基本的には話し合いで解決する場面ですから、離婚すること自体や離婚の条件に関して、当事者間で話し合いがつかず、合意に至らないないケースも存在します。 このような場合には、調停は不成立となりますので、調停手続で離婚することはできないということになります。
調停が不成立になったとしても、なお当事者同士の話し合いにより「協議離婚」をする余地はあります。 しかし、調停不成立という状況まで至っているということは事者間によほど激しい対立があるということですから、これ以上、話し合いで解決することは通常困難です。
そこで、このような場合に離婚を求めるには、家庭裁判所に離婚訴訟(離婚の訴え)を提起して、離婚を命じる判決を下してもらうということになります。 離婚を命じる判決では、離婚それ自体に対する判断のほか、未成年の子が存在する場合にはその親権の帰属についても判断されます。 また、離婚の訴えに附帯して、慰謝料や年金分割などの請求もできますので、それらの請求をしている場合にはそれらに関する判断もされます。 このように、裁判離婚が必要になるケースは、離婚や離婚の条件について夫婦間に激しい対立があり、互いの話し合いでは到底解決出来ない場合に限定されるといってよいでしょう。

なお,離婚訴訟を提起しても、必ずしも裁判離婚にならないことがあります。それは、離婚訴訟の過程において、「裁判上の和解」が成立することがあるからです(人事訴訟法37条1項)。
訴訟を起こした当初はまったく譲歩する気持ちがなくても、訴訟は時間がかかりますので、手続が進んでいく過程の中で、お互いの気持ちが変わってくることがあります。
このような場合、裁判所による説得なども加わって、裁判上の和解をすることがあります。 訴訟提起後に裁判上の和解で離婚が成立した場合には、裁判離婚ではなく「和解離婚」になります。 和解離婚の場合、裁判上の和解をした日に離婚が成立します。
ただ、調停離婚や裁判離婚の場合と同様、離婚したことを戸籍に反映させるため、和解期日後に裁判所から送られてくる「和解調書」と「離婚届」を役所に提出する必要があります。

最後に,裁判離婚をする場合には注意すべき点があります。
それは、裁判離婚をすると、戸籍に「…離婚の裁判確定…」という記載がなされることです。 戸籍は、自分以外の人が目にする機会があります。再婚する際などに、再婚相手に見られることもあるでしょう。そのような場合に、「前の結婚の際に裁判までして離婚した人だ」と意地悪く思う人がいないとも限りません。もっとも、そのようなことを気にしない人も多いと思います。ただ、このようなことが気になるという人は、出来れば協議離婚、それが無理でも調停で離婚を解決しておいた方がよいかもしれません。