コラム

離婚後の親権について

離婚を検討する際に子どもがいる場合は親権者をどちらにするかを検討する必要があります。配偶者の一方が子供にあまり興味がなければ特に争いになりませんが,そのような事例は少なく,基本的に親権争いはかなりの長期戦になり,短期解決は正直あまり見込めません。では,長期の争いの末に親権はどちら側に決まるのでしょうか。

まず,最初にお伝えしたいのは,必ず親権を取れる方法というものは無いということです。
父母のうち,子供の親権者となれるのは1人ですから,いくら努力しても成果につながらないことがあります。
また,親子の関係は,離婚調停前の長い年月により築かれており,短期間に激変させることができません。

1 親権の判断基準

裁判官(家事調停官)・調停委員・調査官は,難しい用語で「子の福祉」を重視すると言っていますが,要するに「子供の幸せ」の観点から親権を考えようとします。
つまり,どちらの親と生活する方が子供にとって幸せになりそうかというのが裁判所が親権者を父母のどちらにするかの判断基準となります。具体的には,以下の事情を考慮します。

① 現在子供と同居しているか,どのように養育に関わっているのか。別居しているのであれば,その経緯,理由。今後同居は可能なのか。

② 10歳前後からはどちらと住みたいかという子供の意思の重視

③ 勤務状況,子供が病気の場合の対応が可能か等

④ これまで子供が住んできた環境を維持できるのか。実家に連れて帰る場合は,なぜその方が良いのか。

⑤ 実家で同居して自分の親が助けてくれる,近くに親族が住んでいて協力してくれること

⑥ 自分の方が財産・収入が多い,自分と生活する方が経済的に豊かな生活ができる,ということ。養育費,児童手当等の福祉的給付もふまえて考える形になります。もっとも,この点はそこまで重視されないです。

⑦ 同居している場合は,子供が相手と会うことを認めているか,会わせているか。別居している場合は,もし,自分が親権者となったら会わせるつもりがあるのか 。

⑧ これまでの子育ての実績(時間・内容) ,子供の塾の送迎,病気の対応,学校行事への参加,洗濯,食事など,具体的にどのように関わってきたのか。

以上の点を裁判所に具体的にPRしていき,自身が親権者になった方が子が幸せであると主張していくことになります。

2 家庭裁判所の調査官調査の対応

離婚調停中に,親権者としてどちらがふさわしいかについて,家庭裁判所調査官による調査が行われることがあります。
調査官も人間ですから,間違うことはあります。しかし,多くの場合,調査官の出した結論は,正しい結論です。そして,裁判官や調停委員には正しい結論であると受けとめられます。
調査官調査をする場合には,調査結果が出たときに,自分の希望と異なる結果であっても,受け入れようという覚悟を持って,調査官調査に臨む必要があります。

① 社会常識ある態度で対応する

礼儀正しく調査官調査に協力する,調査官との約束の時間に遅刻しない,調査官が家庭訪問に来るときには掃除・整理整頓をしておくといったことは,社会人として当然のことです。神経質になる必要はありませんが,あまりにも社会のルールが守れない,不潔であるということですと,子供を正しくしつけられないと見られても仕方がありません。

② 有利な事実をしっかりと説明する

有利な事実はしっかりと説明し,否定できない不利な事実はフォローできるようにしておきましょう。
子供の幸せのために,自分が,これまで何を考え何をしてきたか,現在何を考え何をしているのか,将来どうするのか。
過去に子供に暴力をふるったなど,子供を不幸にさせた行為・態度を否定できないのであれば,その原因と今後の対策をどのように考えているのか。
相手に,子供を不幸にさせるような行為・態度・事情として,どのようなことがあったか。
子供と別居していて,相手が適切な養育をしていないと思われる場合には,調査官に特に調べてきてほしい事項を具体的に話しましょう。

③ 普通のことも具体的に説明できるようにする

子供とどのように関わってきたのかと尋ねられると,説明が難しく,「普通の父親のように」「普通の母親のように」となりがちです。
普通のことを普通に行うことも適切な養育です。
普通だと思っても,その普通にやってきたことを具体的に説明できるようにしておく必要があります。

④ あなた,子供,同居家族のタイムテーブル

通常,裁判所からの指示により,曜日別の,自分,子供,同居家族の生活のタイムテーブルを書いて提出することになります。
特に,子供と同居している人は,タイムテーブルで,適切な養育ができているかがチェックされていると思って下さい。
長時間自分で子供の面倒をみるのが良いということではありません。保育園,自分の親などの活用があるのは通常のことです。子供との関わりが薄すぎたり,肝心のところができていなかったり,子供の生活の乱れが放置されているようであれば,問題ありということになります。
調査官調査が始まってからでは遅いので,事前に改善しておいて,問題視されないようなタイムテーブルを提出できるようにしてましょう。

3 一方配偶者が不倫をしていた場合の親権判断への影響

通常は配偶者の有責性,すなわち,不倫をしていた事自体で親権判断に影響が生じることはありません。なぜなら,親権判断基準はどちらを親権者にする方が子にとって幸せかという点でするものであり,不倫をしていたこと自体が子の福祉の判断に影響を与えることはないからです。もっとも,上記で親権判断基準で述べましたが,今までの子の監護の実績・現在の監護状況が親権の判断要素となるところ,不倫相手に熱を入れすぎるばかり育児を放棄したといえるような事情があればこの事情は親権判断にとって不利な方向に働きます。

 

離婚・親権について不明な点があれば一度仙台駅前法律事務所まで問い合わせをしてみてください。