コラム

離婚の結論自体が争いになっている場合に考えるべきこと①

離婚の紛争では色々なパターンがあります。離婚・親権では揉めていないが財産関係や慰謝料等で揉めているケースもあれば,離婚自体は双方納得しているが親権で泥沼の争いになっているケースもあります。今回は夫婦で離婚自体の結論に争いが生じているケースについて考えていきます。

離婚自体の結論に争いがある場合,まずは話し合いで解決できるか探る形になります。それが無理であれば,調停の申立てをすることになります。調停でも双方が離婚の結論に合意できなければ,裁判で強制的に離婚することを考えていくことになります。なので,相手方が離婚に反対しているときは仮に調停で解決できなかった場合は裁判で離婚が可能かどうかを頭の片隅に入れておく必要があります。裁判により離婚が認められるためには法定の離婚原因(民法770条1項1号~5号)が存在する必要があります。この離婚原因が自身のケースで存在するかを離婚を決意した時点で一応検討しておく必要があります。

① 不貞行為

法律では、離婚の原因となるパートナーの不倫を「不貞行為」と呼びます。判例では,不貞行為を「配偶者のある者が、その自由意思に基づいて配偶者以外の者と性的関係を持つこと」と定義しています。ここでは,相手方の自由意思は問題になりません。つまり、パートナーと相手方との間に性的な関係があったかどうかが不貞行為として問われる部分になります。
しかし、不貞行為は人に見えるような場所で行われるものではないので、その関係を証明するのは困難です。週刊誌に写真を掲載された芸能人のように「一緒に食事をしていただけ」などの主張をされてしまったら、それ以上の追及はしづらくなります。では、どうやって性的な関係があったことを証明したらよいのでしょうか。通常、不貞行為を証明する直接的な証拠が存在するケースはほとんどありません。そこで、多くの場合、前後の状況で判断できるものを証拠として不貞行為を証明することになり、実際の裁判においても,そのような証拠に基づいて不貞行為の存在が認められています。

不貞行為の証拠については https://sendai-furinisharyou.jp/isharyou#note-evidence

なお,不倫・不貞行為があった場合(離婚を決意しているケース)は100万から300万円の慰謝料請求できる可能性があるので,実際に全力で回収するかどうかはともかく,離婚のための手持カードとして当然に検討すべき事項でしょう。

② 悪意の遺棄

離婚原因と法定されている「悪意の遺棄」とは、簡単にいうと、夫婦の一方が悪意をもって相手方配偶者を見捨てることです。悪意があるというためには、単にその行為による結果を認識しているだけでは足りず、夫婦関係を破壊してやろうという積極的な意図があったり、夫婦関係が破たんしてもかまわないという意思が必要だと考えられています。悪意の遺棄の代表的な行為は、正当な理由なしに家を出て別居することです。そして、今まで渡していなかった生活費を一切支払わなくなるなどのケースがもっとも典型的です。
例えば、夫が妻に断りなく突然家を出て行き、妻にいっさい生活費を支払わないなどの行動をとると、それは悪意の遺棄と評価されます。
この場合、妻は悪意の遺棄を理由として夫に対して離婚請求することができます。
ただ、家を出て行ったとしても、正当な理由がある場合には悪意の遺棄は成立しません。例えば病気療養のために別居をしたとしても、そのことが悪意の遺棄と評価されることはないのです。なお,婚姻期間が長ければ長いほど、突然家を出て行った場合の悪意の遺棄は成立しやすくなるかと思います。ただ、裁判例には、結婚後2ヶ月でも悪意の遺棄を認めたものもあります。

また,悪意の遺棄があった場合、遺棄された配偶者は、離婚の際、相手方配偶者に対し、慰謝料請求をすることができます。
悪意の遺棄があった場合の慰謝料の金額は、婚姻期間や別居期間、生活費不払いの程度や期間などにもよりますが、相場としては50万円~200万円程度となるかと思います。

③ 3年以上の生死不明

「3年以上の生死不明」とは、相手方配偶者が生死不明のまま連絡を絶って、音信不通になっている場合です。例えば家出や事故、災害などで一切連絡が取れなくなる場合などがそれに該当します。生死不明であることが必要なので、生きていることはわかっているけれども行方不明などの場合には、これには該当しません。この場合の3年の計算は、最後に相手方配偶者と連絡をとったり音信があった時点,つまり相手方配偶者の生存が確認された最終時点から開始します。相手方配偶者が最終的に消息を絶ってから3年が経過した時点で、3年以上の生死不明が認定されることとなります。離婚訴訟において3年以上の生死不明による離婚を認めてもらうには、本当に3年以上生死不明となっている証拠が必要です。裁判では、証拠により裏付けられない事実は認定してもらうことができないからです。
その証拠としては、例えば,警察への捜索願やその受理証明書、相手方配偶者の元勤務先,友人・知人による陳述書、これらの者の証言などが考えられます。警察に捜索願を出して精一杯探す努力をしたがどうしても見つからなかったということを示したり、勤務先や友人・知人から「〇〇氏については、いついつ以来1度も見かけていない、連絡していない」と陳述してもらいます。相手方配偶者が事故や災害によって生死不明になってしまった場合には、その事故や災害に関する資料や、相手方配偶者がそれに巻き込まれた可能性が高いことを示す資料なども必要になります。

④ 回復見込みのない精神病

回復見込みのない精神病とは、統合失調症や躁うつ病、早発性痴呆や麻痺性痴呆、認知症やアルツハイマー病、偏執病、初老期精神病などが代表的な症状です。重度の身体障がい者の場合にも、この要件を満たして離婚が認められることもあります。
これらに対して、アルコール中毒や薬物中毒や劇物中毒、ヒステリーやノイローゼ、精神衰弱などは回復見込みのない精神病という場合の「精神病」にはなりません。これらを理由として離婚することはできないことになります。 このように、回復見込みのない精神病を考える場合、まずはどのような精神病や症状の場合に離婚が認められるのかという点を抑えておくことがポイントになります。 「回復見込みのない精神病」を理由とする離婚が認められるためには、いくつかの条件があります。重要なのは、単に相手方配偶者が不治の精神病にかかったからといって、その一事だけをもって離婚できるわけではないのです。
回復見込みのない精神病の要件で離婚するためには、 ①治療が長期間に及んでいること ②離婚を求めている配偶者が、それまで誠実に療養看護したり、生活の面倒を見てきたこと ③離婚後に看護する人や療養費用に関する対処が必要となります。

なお,相手方配偶者が回復見込みのない精神病を患っていることから、同人の判断能力の有無が問題になってきます。相手方配偶者が植物状態などで、自分で訴訟活動を行うことができない場合があるからです。 このような場合、まずは、相手方配偶者について後見開始の審判を申し立て、相手方配偶者に成年後見人をつけてもらう必要があります。成年後見人とは、判断能力の無くなった人の財産管理や身上監護をする人のことで、裁判などでは本人の法定代理人になります。
後見開始の審判申立ては家庭裁判所で行い、家庭裁判所が成年後見人を選任します。成年後見人が選任されたら、その成年後見人を法定代理人として、相手方配偶者に対し、離婚訴訟を提起することになります。

 

離婚について話し合いで解決できなさそうであれば,一度仙台駅前法律事務所まで問い合わせてください。