1 貞操権侵害とは
貞操権とは、性的な自由に不当な干渉を受けない権利、純潔を侵害されない権利のことです。既婚者なのに相手が「独身」と偽って交際を継続していた場合、相手は自身の性的な判断の自由を不法に侵害したことになるので、「不法行為」責任により損害賠償請求権が成立する可能性があります。
2 貞操権侵害を理由に慰謝料請求ができる場合
- ⑴ 男性が既婚者であるにもかかわらず未婚者と偽っていたこと
交際中に相手がずっと「独身」と言い続けており、それがもっともらしくて、被害者がだまされても仕方がないと言えるような状況であったなら、慰謝料請求できる可能性があります。 - ⑵ 肉体関係があること
貞操権侵害となるためには、肉体関係(性的関係)があったことが必要です。たとえ交際していても、プラトニックな関係であれば基本的に貞操権侵害にはなりません。 - ⑶ 男性側の悪質性が強いこと
女性が判断能力不十分な未成年、男性側から積極的に男女交際を誘った、半ば無理やり性交渉を行った、女性を妊娠させた等の事情があれば男性側に悪質性が強いといえ、慰謝料請求しやすい状況となります。
3 慰謝料の相場
貞操権侵害の慰謝料額は、50万円〜200万円程度のケースが多いと思います。慰謝料の金額は、婚活サイトの利用や結婚式の開催の準備等男性側がいかに巧妙に独身者と偽っていたか、肉体関係を伴う交際関係の長さ、女性側の妊娠の有無などの事情を総合的に考慮されたうえで決定されます。